第4日目:シンセン


■何と3倍!

 今日の朝食は趣を変えて「大家楽」にて香港流ファーストフードにチャレンジ。ライスヌードルと英語名のついた麺を頼んでみると、出てきたのは白い、まるで巨大なシラスのような形をした妙な麺であった。ニャンコ先生はプレーンにお粥。港のヨーコはトースト定食のようなしろものだったが、ついてきたマカロニスープがコレまた妙な味。あんなに安くて美味しい麺粥屋が星の数ほどあるというのに、どうやったらライスヌードルやらマカロニスープのようなまずい(?)物を食う気になるのか、理解に苦しんでしまう。申し訳程度につっついて退散する。
 今日はシンセンに行くので昨日申請しておいたビザを取りに行く。今日も窓口は空いていた。引き換えに貰った紙を出して、100ドル払って受け取るはずだった。が、知らないうちに300ドルになっていた。「高いー!!」と憤慨するニャンコ先生。去年の9月に来たときは100ドルだったらしい。どうもここら辺は中国返還後いろいろと変更が重ねられているようである。ぶーすか言いつつもピザの張られたパスポートを受け取り、KCR(地上を走る普通の鉄道)にのるべく九龍塘駅まで地下鉄に乗る。KCRで終点の羅湖(Lo Wu)まで33ドル。切符を買って電車に乗る。席は自由席。40分ほど乗るのでここでは何としても座席を確保したい。目出度く座る場所をゲットし、しばし尻に根を生やす。普段通勤で乗るよりも短い乗車時間ではあるが、狭い香港をうろうろしていると、ものすごく遠出をしている気分になる。ビザなんかとったりしたから、なおさらだ。「激安シンセン」に思いをはせながら、お喋りに興じていると、思いの外あっけなく終点の羅湖(Lo Wu)駅に到着してしまった。

Lo Wuの改札口

■激安シンセンでけちけちショッピング

 改札を出ると出境手続である。出入国カードを書いて出国審査を受ける。その後橋を渡ると対岸がシンセンで、ここで中国へ入国する。3倍に跳ね上がったビザがここで活躍してくれるわけである。といっても、とりわけ特別な手続きもなく、ここでも出入国カードを書いて入国審査を受けて、と忙しないだけである。
 建物を出ると、目の前には中国が誇る経済特別区、シンセンの町が広がっている。個性的な外観の高層ビルがにょきにょき建っていてなかなか壮観である。10年前に仕事で行った北京よりはるかに近代的。(ま、10年も前と比較するのも無理があるというものだ。噂によれば北京も目覚ましく近代化が進んでいるらしいし・・・)忙しない手続きをしたわりには、シンセンに来たからといって名所巡りをするわけではない。名所といえば名所でもある羅湖商業城という巨大ショッピングモールで激安シンセンを堪能するのみである。5階建ての広いフロアーに小さな店がぎゅうぎゅうに詰まっている。よくよく見れば売ってるものは何処も似たようなものばかりではあるが、香港からも買いだしに来るくらい安いのである。着るもの、雑貨、お茶、バッグに靴、ネイルサロンやマッサージ、民芸品、もう、なんでもありありのショッピングワールドである。香港ではあまりみかけない「呼び込み」もここでは当たり前。でもインドみたいに何処までも果てしなくくっついてくるど根性な「呼び込み」ではなく、渋い顔して「ノー、ノー」と素通りすれば簡単に振り切れるソフトな「呼び込み」なので大してうっとうしくもない。一番多い呼び込みはネイルサロンであった、が、主婦はネイルなんぞしないので、素通り。
 とりあえずまずはトイレにはいると、そこにはトイレおばさんが・・・。チップ・・・と思い慌てて財布を開けるが2ドル硬貨がない。コインは10ドルだけ・・・。一瞬迷って金銭感覚がなくなったか?もったいないと思いながらも10ドル硬貨をトレイに置いて何食わぬ顔で出てきた。しかし、これがニャンコ先生に目撃され、のちのちまで「トイレで10ドル払った女」として、話のネタになったのである(j_j)。
 トイレの後は例によって、昼食の場所を確認し、時間までフリーということで、とっととばらける。これだけ広ければまず鉢合わせることはなさそうだ。ショッピングもよいけど、せっかく来たから駅前の風景ぐらいは押さえておきたいと思い、一端外に出て、少し歩きながらシャッターを押す。
 何処に何があるかもよく解らないまま、とりあえず巡回開始である。ふらふらしていると、目の前に大きな布地屋さんが現れた。とりあえず中に入る。どうも中は小さな店ごとに別れているようだ。チャイナドレスも欲しいなーと思っていたが、ここはあいにく吊るしは少なく、殆どがオーダーメイドのお店のようだったのでチャイナドレスは諦め、布地を買っていく事にする。ちょっと中国っぽいけどモロではないという雰囲気の、渋めの布が目に留まったのでそれを買うことにする。広東語はさっぱり解らないので、いざとなったら筆談である。店員はスカート作るなら2m買え!と言うが、横幅も確認しなくては不安である。長さを聞いてみたら「インチ」で答えが返ってきた。「インチ」ではわからないので、近くにあったモノサシをぶんどり、自分で計った。で、結局店員の言う通り2m買った(爆)。このやり取りで疲れてしまい、値切る気力がなくなってしまい、ここだけは定価(?)で支払う。
 こんな調子でふらふらしながらも、しっかり値切って予定通りバッグをゲット。お土産になりそうなものもしっかり笑顔で値切ってお買い物。外国に来たって値札の付いてるスーパーでは流石に値切らないが、ここにあるもの殆どがプライスカードがないんだもの、定価なんてあってないようなものなのはすぐ解る。こういうときはいきなり半額ふっかけたりもしちゃうよ〜ん。安いものは控えめに値切りますが・・・。
 始めはいくつか店をチェックしてから一番良さ気な店に入ろうと思っていたが、あまりにも広いところに小さい店がひしめき合いすぎているため、同じ店に2度とたどり着けないことに気がついたので、興味をそそる物を目にしたときは、とっとと店に入ってゆくことに作戦変更をしつつ買い物をした。
 まさかと思ったが、またしてもお茶屋にて港のヨーコと遭遇する。なんとお茶の量り売りも500gからで、はっきりいって多すぎて困っていたようだ。で、二人で買って分けることにする。私にとってもラッキーな巡り合いであった。で、ここはプライスカードがあるにもかかわらず、軽く値切り交渉。港のヨーコはボー然と見ている。どうも「値切る」のを忘れていたようだ。(彼女はこの後、猛烈に値切りまくり、今迄の損 をしっかり取り返していた。お見事!) せっかく安いので、ここで欲しい気持ちになっていた茶器も購入。香港の半額でゲット。いやー、待った甲斐がありました(^o^)。

Lo Wuの改札口 連絡橋 駅前 羅湖商業城

■嘘つきガイドブック

 お茶屋を出て、また港のヨーコと別れ時間までふらふらする。約束の時間が来たので、各自戦利品を手に昼食の飲茶レストラン前に集合。なんとニャンコ先生は自室のカーテンをオーダーメイドしていた。恐るべしリピーター・・・。
 ガイドブックにも美味しいとお墨付きのレストランに入ると、順番待ちのお客さん達がイスに座って沢山待っていた。初めてきた店だが、これは期待できる??と順番が来るのを心待ちにしていた。が、番号は広東語で呼ばれるのでうっかりして一回すっ飛ばされてしまう。案内係のおねいちゃんに、しっかりくぎをさして見えるところで待っていると、さすがに今度はこちらを向いてしっかり呼んでくださった。よしよし。
 席について例によってオーダーシートであれこれ注文する。が、何がどうしてか、オーダーシートを書き写し、しかもうつし間違えて頼んだ覚えの無いものが運ばれてきたりするも、まぁ、いいさと寛大な気持ちで有り難く頂戴する。だがしかし、このお店、お墨付きの割にはあんまり美味しくない気がする。しかも、3人揃ってそう思ったのだから多分そうなのだろう。デザートに頼んだマンゴープリンには、まさかと思ったが半分に切ったプチトマトが乗っかっていた(^^;)。店構えは立派なんだけど、どうもハズレのようだ。まぁ、これも旅の楽しみだと食い物の恨みを忘れようとするが、ここにこうして書いている辺り、食い物の恨みは恐ろしいというほかなさそうだ(爆)。
 食事の後も、再度ばらけてお買い物を続行し、予定より大幅に遅れて18:30頃、また橋を渡って羅湖駅に戻り、両手一杯の荷物を置きに、ひとまずホテルに戻ったのであった。何はともあれ目指すものはゲットでき「激安シンセン」はしっかり堪能できた。

■香港映画の夜は楽し

 ホテルで一息ついた後、気合いを入れ直し、比較的近くの地元色濃厚な映画館に出かける。港のヨーコのリクエストにより映画を見ることになったのである。映画館と上映時間は昨日の夜、帰りがけに確認済みという手際の良さ。時間にあわせてホテルを出る。途中、揚げパンを売っている超庶民的なお店で、餅のような生地にゴマがまぶしてるまあるく膨らんだ揚げパンと普通のパン生地でちょっと膨れた平べったい焼いたパンを買い、道々食いながら歩く。どっちのパンもほんのり甘くとっても美味しい。特にゴマのついた真ん丸の(ブーブーパンと勝手に名付けた)パンは私のお気に入りにエントリーされた。
 歩き食いをしていると程なくしてローカルな映画館「京都」に到着。ちょっと早く着きすぎて未だ入場できなかったので、映画館の前に座り込んでパンを食べ続けた。向かいの万屋におすましした猫がいたので写真を撮る。港のヨーコがそこで買ったジャスミンティーは、あろうことか砂糖入りで、全然口に合わない奇妙な風味であった。もう、笑うしかないような味・・・。こちらのペットボトルのお茶はよく見ると「糖」と書いてあるものが多く、気をつけないと妙な味に遭遇してしまうようだ。気をつけよう。
 開場時間が来て中に入る。ローカルなくせに3つもスクリーンがある映画館であった。ニャンコ先生がチョイスしてくれたのは、言葉が解らなくてもある程度楽しめるであろうコメディーものだった。タイトルは「走投有道(Ranaway)」お客は10人も居ないのに全席指定だったのが、既に笑える。場末のB館らしく、寒々とした客の入りである(爆)。
 映画が始まった。音声は北京語。字幕は広東語と英語。普通2行のものが4行になる。しかも瞬く間に入れ替わり、とてもじゃないけど英語を追うことも出来ない。役者はものすごいスピードでセリフをまくし立てている。仕方がないので映像を思いきり楽しむことにしたが、これがなかなかきれいな色合いで見ごたえはたっぷりであった。いかんせんセリフが意味不明なので、子供でも笑える視覚的場面のみでの笑いである。もし、字幕入りでレンタルでもされることが有ったら是非ちゃんと見てみたいと思った。映画はアタリで○。

■Wei nin zhong qing

 映画を見終わった我々は、お隣のCauseway Bayに移動し、レスリー・チャンのプロデュースする洋食レストランを訪ねる。外からはお店とは思えないような地味な扉の奥には、香港のイメージとはかけはなれたおしゃれでハイセンスな隠れ家がこじんまりと在った。あれだけパンを食ったにもかかわらず、根性で今度はカレーなんぞを食うが、これがまた大変美味であったので、根性で平らげた。もう、おなかは限界でーす。
 それにしてもすっごくいい雰囲気のお店で大満足。ここも、是非また来たいが、入り口があまりに地味なので、自力でたどり着けるかがかなり怪しい気がする
。  腹ごなしに一駅とぼとぼ歩いてWan Chaiに帰ってきた。ホテルに着いたのは深夜1時。今日はとっても長い1日でした。

NEXT→