第3日目:アグラ〜ジャイプール


■お調子者!?

 本日の移動は約250km。ピンク・シティーと呼ばれるジャイプールへ向かう(町の中が、渋いピンク色の建物ばっかりなの)。6:00に起きて朝ご飯も食べちゃうなんて、日本にいたら考えられないヘルシーライフ。6:30にはロビーに集合して朝食だもの。でも、私たち、今日は朝からツアーの人気者だったのだ!何故ならば、昨日入手した例のモノのおかげなんだけど。例のモノとはインドではポピュラーなサリーなのだ。朝っぱらからホテルの部屋で悪戦苦闘しながら、見様見まねで何とか着付けただけに、かなりいい加減で、ださかったらしく、朝食の後、他のツアーで来ていた(?)ガイド・メイラ氏のオトモダチらしい女性にトイレに連れていかれ、着付けなおされてしまった。だだっ広いキレイなトイレだったので、さながらサリーの着付け講座のようで、白人女性が2人、最初から最後までしっかり見学していた。晒し者にはなったけど、密かにこの旅行の第一目的としていた「サリーを来てインドを歩く」が、実現出来たのはやっぱり嬉しい。しかもこの格好のおかげで、何処に行っても人より余計に話しかけられて、たくさんの人と言葉を交わすきっかけができたのも思わぬ副産物であった。お土産屋さんにいけば、そこの女性が、着崩れをなおしてくれたりして、そのつど晒し者にもなったけど、みんな親切にレクチャーしてくれた。ちょっと恥ずかしいけど、これはオススメです。
 しかしこんなもの、日本に帰ったら、着る機会ないよな〜。(ちなみにシルクと化繊の混紡で負けてもらって、くりゃ吉のが90ドル、私のが110ドル也)

道路 映画館の看板
道路 映画館の看板

■像のタクシー

 まず本日泊まるホテルに荷物を入れて、昼食。日々ホテルのレベルがアップして、それにともない食事のレベルもアップして行くのが嬉しい。お腹が膨れたらソッコーで像のタクシーで有名な山城アンベール城へ。いったいどうやって象に乗るのかと思っていたら、船着き場ならぬ「象着き場」があって、2人ずつ背中合わせに計4人が乗れるようになっている。「象着き場は」像の背中の高さに乗り場があってそこまで階段を上って行く仕組み。顔にお花の絵が描かれた象さんが右を向いて「象着き場に」身体を寄せて、まず二人、ぐるっとまわって左向きになってまた二人が乗るという寸法だ。象使いのお兄さんの指示通り、さっさと人を乗せると、お利口な象さんはのっしのっしと急な坂道を登っていく。高台に向かうに連れて視界がどんどん開けてきて、天気の良さも手伝って素晴らしい眺めである。ここでは、象の左側に乗るほうが、この絶景をたくさん楽しめます。アグラとは全然違ってスカーッと澄んだ空気と真っ青な空が広がっているので、爽快感もひとしおである。そしてここでもかわいいお猿さん達が歓迎してくれる。お城の門をくぐると中庭で、同じような「象着き場」がありそこで同じ様にして二人ずつ降ろしてもらう。ついでに象さんも触らせてもらったけど、毛がチクチク剛毛で痛かったぞ。そして象の耳の裏側は天然の水玉模様だった。
賢い象さん 勝利の間
賢い象さん 勝利の間
 このお城は、鏡をちりばめた装飾がウリ。噴水の跡があったり、夏用の部屋には水のカーテンを作るからくりもあった。見えないようなところにに風の通り道も作られていて、暑いインドの夏を涼しく過ごす工夫があちこちに。う〜ん、インド人はすごいかも・・・。毎月宮殿の中庭で女性ばっかのバザールがあって、その売り子さん達の中から王様に気に入られた娘はそのままハーレム入りしたりって事もあったらしい。
 下山はジープをチャーターしてもらい、2台に分乗して砂煙をあげながら、石畳の急勾配を一気に駆け降りた。ちょっとの間だったけど、もう、スリル満点。最初は「象のタクシー」なんて、なんとなく子供っぽい・・・って思ってたけどコレはなかなか気持ちが良かった。ただ、ここでも土産売りがしつこくお城までの道すがら1人1頭の割当てでもあるがごとくついてきて、ずーっとセールストークを続けていたのが、やっぱり珠に傷。黙って露店でも開いててくれた方が、よっぽど買おうって気になるんだけど、彼らはどうもわかってないみたい。

■マハラージャ御在宅のシティ・パレス

 ここは、今もマハラージャが住んでいる宮殿。一部を博物館として一般開放している。屋根に旗が揚がっているので、現在マハラージャは宮殿にいらっしゃるようだ。外出中は、籏が少し下がっているんだって。「こんにわ!」とマハラージャを訪ねるわけにもいかないので、我々は博物館を見て回ることに。宮殿にある博物館らしく、歴代のマハラージャの暮らしぶりがわかるゆかりの品々が鎮座ましましている。体育館のように広い食堂にステージのような食卓(食卓の上に、象の上に乗せていた王様用御輿がいくつも飾ってあるんだから、言われなきゃ展示用のステージだと思うわよ)。じゅうたんなんかもたくさん壁に掛けてあって、擦り切れ加減にリアリティーを感じたり、肖像画の中にいとこにそっくりなマハラージャをみつけたりする。
銀の壺
銀の壺
 武器のコーナーに行くと剣に銃に盾に鎧にと物騒なものがずら〜り。柄に宝石の埋まってる剣なんてのもあって、いったい何を考えてるのかよく分からん。ハサミのようなかたちの剣があったので、「これはどうやって使うの?」と訪ねたら、両手で柄を持って敵の腹にグサッとブッ差した後、やはりハサミのようにチョキチョキやって、敵の内蔵までもぶった切ると言う、すんごい答えが返ってきた。おそるべしインド人・・・。
 装飾品コーナーは主に奥様のものが多かったが、一番びっくりしたのが、シルクで出来たマハラージャのガウン。9Kgの金糸を使用してるってのもすごいんだけど、そんなことよりもサイズが異様にでかい。KONISHIKIでも着られる・・・といったらだいたい御想像がつくことでしょう。豪華な宝石やサリー、この地方の特産品でもある印度更紗など、何処の国にいっても展示されているお宝の品々だが、こんなセキュリーティーで大丈夫かい?と思ってしまうような展示の仕方にインドっぽさを感じた。
 出口に「コインを集めてるから日本のコインをくれ」というおっさん(関係者っぽかったけど)がいたので、穴の空いた5円玉と50円玉をあげたら、ずーずーしく「100円もくれ」という。しかたがないので100円も上げたら、50パイサ(1ルピーの半分)コインをくれた。155円あげて1.7円かい???とすこーし損したって気がしたけど、ガイド・メイラ氏いわく"パイサ"はほとんど今使われてないから、いいものを貰ったかもとのことだったので、心の中でおっさんに「ありがとう」を言った。ゲンキンな私・・・。

■そしてやっぱり最後はお買い物・・・

 ジャイプールの特産品は印度更紗。プリント方法の実演を見せてもらって、店内をぷらぷら。何処のお店に行っても ウェルカムドリンクを出してくれる。瓶のジュースやチャイがほとんどだが、さすがに、もう「これ飲んでも大丈夫ですか??」とは誰も言わなくなっていた。すでにこの頃、我々ツアー一行は「移動中にハラがくだったら、現地人に混じって野グソするっきゃないね」という本気とも冗談ともつかないギャグをとばすようになっていたのである(殆ど女性ばかりだったのだが・・・)。印度更紗とは関係なく、タペストリーになりそうな黄色い布を探していた私は、「ホントならこんなに少しは売らないけど・・・」とぶつぶつ言うおっさんをしり目に、とってもきれいな山吹色の地に金糸で模様が刺繍してあるシルクの布を60cmだけ購入した。もちろんケチケチと値切ったことは言うまでもない。

■宮殿ホテル

 インドでの最後の夜は、5つ星の更に上を行く「宮殿ホテル」にお泊まりなのだ。門から玄関までの距離も結構あるし、「今までのホテルは何だったの???」というくらい立派なホテルである。夜になれば建物はライトアップされ、中庭でのディナーは超ロマンチック。お部屋だって広いし奇麗だし、格安のツアーなのによく頑張った!と褒めてあげたくなるようなリッチさ。
 ガイド・メイラ氏の提案により、レストランではなくガーデン・ディナーに予定変更し、お庭で作ってもらってお庭で食べるという贅沢な晩ご飯。でもなぜかメニューは中華であった。デザートの前にテラスで民族舞踊が披露されたのでしばし席を離れてショーを楽しむ。が、お客さんも御一緒にというのはここにもあるようで、竹の棒を2本手渡され輪の中に入れられた。観光客の中にサリー姿の私たち・・・そっとしておいて貰えるわけなどあろうはずがない・・・。そして、またもや踊る・・・。
 案外ハードな踊りに日ごろの運動不足がたたって、ハアハアと息も絶え絶え状態になりながら、またテーブルに戻ると、傍らのジャスミンの木から風に乗っていい香りが漂ってくる。デザートのアイスクリームがほてった身体に染み渡るぜ。
宮殿ホテルのお庭1 宮殿ホテルのお庭2 ダンサーの皆さん
宮殿ホテルのお庭1 宮殿ホテルのお庭2 ダンサーの皆さん
 ディナーのあとはせっかくだからとホテルのバーでまたもやガイドメイラ氏を囲んで女性6人集まって酒を飲んだ。部屋に戻る途中、旅行者とおぼしき白人女性3人から「そのサリーはどこで買ったんだ?」ときかれたので「アグラだよ〜ん」と教えてあげた。英語解んないのに言葉通じるのがとっても不思議だな〜と思う単なる酔っ払い2人だった。
 さすがに疲れがたまってきたのか、この日は泥のように寝た。

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