第2日目:デリー〜アグラ


朝食
明るい食堂で朝食

■車窓より

 朝6時起床。7時からホテルで朝食をとったあと、約200km離れているというアグラへとバスにて移動。 インドのくせに冬というだけあって朝はかなり肌寒く、バスの中は冷蔵庫状態。途中、私たち姉妹のわがままで公衆電話のある商店(?)に立ち寄ってもらって会社に電話をかける。実は、くりゃ吉はこの日転勤先の辞令がおりる大事な日だったにもかかわらず、「それより休暇を取るほうが先だった!!」と上司に向かって強気の発言を残し、強行突破でインドに来たのだった。そういうわけで、インドから電話で辞令を聞く約束をしていたので、どうしても!と昨夜のうちに電話をかけるタイミングをガイドのメイラ氏に頼んでおいたというわけ。
 それはさておき、その商店の店先にはサモサをあげているブースがあって、1つ食べてみたけど、カレー味でとってもおいしかった。そして、その横では小汚い牛が、餌を食っている。もちろん往来のある舗道です。野良牛も多いって聞いたけど、町中に牛がいるというのはかなりの違和感が・・・。
電話 牛
電話ボックス 舗道で餌を食う牛
 さてさて、明るい景色を見るのは初めてなので、しばし窓からの景色に見入る。デリーの町の中は通勤、通学の人々の往来が絶えず、3輪のオートリキシャ(リキシャの語源は日本の人力車だとか・・・)が原付のごとくバスの横を次々に擦り抜けていく。渋滞こそないが、結構交通量は多い。スーツの人もいるが、シャツにズボンというラフな格好の人が多いし、女性はサリーの人がやっぱり多い。小学生の制服姿もちらほら。道端で、理髪店なのだろうか、フェンスや木の幹に鏡を取り付け、その前でイスに座った人が髭を当たってもらっていたり、散髪をしてもらったりしている。  町の景色が終わると延々と畑風景が続きその間に小さな集落がぽつぽつと現れる。ほとんど平地のためか、無人の地域が存在しないのも、びっくりである。ぼけ〜っと畑ののどかな風景を眺めていると、畑の中を歩いていた人がいきなり着ているものをペロッとめくりあげると、そこにはいきなりのお尻が・・・。「!」と思うまもなく彼はその場にしゃがみ込んだのであった・・・。初めて見る「大人の野グソ」であった。かなりインパクトのある光景だったが、その後、あちこちでこの風景を見ることになったのは言うまでもない・・・。  さて、走っていたのは高速道路と聞いていたのだか、リキシャやチャリも走っているし、人だって歩いてる。おまけに、牛、馬、揚げ句の果てには走るラクダまで・・・。みてると犬(ほとんどが耳の垂れた中型犬)もたくさんふらふらしてるし、何でもありありの高速道路であった。

サモサ屋 教習所の案内
サモサ屋 自動車教習所の案内

■アグラ到着

 デリーからバスに揺られること5時間、あまりにも有名なタージ・マハールのあるアグラに到着。飛行機だとデリーから40分ぐらいで来れるそうだが、いかんせん低予算ツアーのため、この時間なのである。(ま、貴重な光景も見られたことだしヨシとしよう!)
 まず、昨日よりはだいぶキレイなホテルにチェックインして、ロビーでウェルカムドリンク(オレンジジュースでした)を振る舞っていただき、一休み。(ちなみにインド編の扉のバラの写真はこのホテルのロビーで撮ったものです。)くりゃ吉と「プハーッ!!」ってな感じでジュースを飲んで一服していると、どこからか「このジュースは飲んでも大丈夫ですか??」との質問が、ガイドのメイラ氏に・・・。私達は「もう飲んじゃったよ」と顔を見合わせ「大丈夫だよね」と勝手に結論を出してはみたが、内心ドキドキ。「ホテルのものは大丈夫です」と冷静なお答えが返ってきて一安心だったけど、みんな水モノにはかなりナーバスになっているみたい。インドといえば下痢の国だもんね。
お部屋に入ってみると、昨日は緑の部屋だったけど今日は赤い部屋で、広くはないけど雰囲気のあるよいお部屋。部屋の設備を確認した後は、待ってましたの昼ご飯。カレーは今回も必ずちゃんとあります。

牛2 トラック
どこにでもいる牛 パステルカラーのトラック

■憧れのタージ・マハール

 いよいよこの旅行の目玉観光、タージ・マハールにやって来たぞ!なんでも、最近は空気が汚くなってきて、真っ白だったタージ・マハールが黄ばみ始めているとかで、排気ガスを出す車は半径2km以内に立ち入ることが出来なくなっているため、途中でバスを降り電気自動車に乗り換えて門の前まで行く。さすがに観光地だけあって、我々を待ち構えて土産売りがわらわらと集まってきて、彼らの作った花道を通っての下車となる。彼らの売っているものは、すべてコピー商品のニセモノだが、しゃれでバッタもんを手に入れるには安いしイイかも知れない。片言の日本語で大変フレンドリーかつ熱心にセールスしてくれるので、無視!!をしきれない心優しい人には、結構辛いものがあるかも・・・。
タージ・マハール正門
タージ・マハール正門
 外堀の東門を入ると広場の右手ににもう一つ門(正門)があって、その門の向こうにタージ・マハールがあるのだが、食べ物を持って入ることが禁止されているので、その門のところで、荷物チェックを受け中に入る。(おやつ持ってた人はホントに預けさせられておった。)するととーくの方にタージ・マハールが・・・。そう、よく写真に写っているあの風景が目の前に飛び込んでくるのであります。感激!! タージ・マハールは超愛妻家の王様が、亡くなった奥様のために建てた巨大なお墓である。裏手には川が流れていて、あまり地盤のいいところではなかったのだが、どうしてもここに建てると王様が言い張ったので、学者や専門家が集まって思案した結果、地面をかなり深く掘って地均しをして(木をたくさん埋めたと言ってたけどホントかな?)、さらに左右に同じ建造物(モスク)を建ててバランスをとっているという、全くよくできた代物なのであった。
タージ・マハール タージ・マハール脇のモスク
タージ・マハール 脇にあるモスク
 さて、ここで問題です。タージ・マハールの四隅に1本ずつ塔が建っていますが、それらはよく見ると微妙に外側に傾いて建っています。それは何故でしょう???ふふふ・・・答えはあとでね。
 早速我々は、タージ・マハールの中にレッツ・ゴー。もちろん土足厳禁だから靴を脱ぎ、現地の人たちは脱ぎっぱなしだったが、紛失したではしゃれにならないのでしっかり靴を手にぶら下げてのご入場。この格好変だったらしくて、いろんな人にくすくす笑われた。(ちなみに有料で、ちゃんと預かってくれるところもあります。)
 タージ・マハールにはイスラム系の装飾がたくさん施されていますが、色のついたものはすべて宝石。ベースが大理石なんだから釣り合いとしては当然かも知れないが、それにしたってすごすぎる〜!!
タージ・マハール入り口
タージ・マハール入り口
 実はこの王様、裏手の川に橋を架けて、対岸に黒大理石でもう一つ同じタージ・マハールを作り、王様本人のお墓にするつもりだったらしいが、息子に無駄使いを叱られて却下されたうえ、叱られついでにアグラ城というところに監禁されてしまったとか。あ〜、なんてバカ息子なの、もう一つ黒いタージがあったら、どんなに素晴らしかったか・・・。というわけで結局王様はこのタージ・マハールのど真ん中にある、奥様の棺の隣の棺に入っておるのであった。たしかに、とってつけたように並んでおった。
 本当の棺は、みんなが見られるお墓の真下にあって、今はもう観光客が入ることは出来なくなっている。下へ続く階段だけは見ることが出来るが・・・。どっちにしてもお墓の上を歩いてはいけないので、真上に同じものを作って歩行禁止エリアを形成しているということであ〜る。えっへん。

■タージ・マハールのアイドル??

 私たちがここぞとばかりに記念写真を撮っていると、どこからともなくインド人観光客団体(日本で言うところの社員旅行の雰囲気・しかも全員男)がやってきて、一緒に写真を撮ってくれという。ま、いいかと思って、集合写真に収まったが、その後、個人写真撮影に突入しすべての人達と一緒に写る羽目に。ひと騒ぎしてまた歩き始めると今度は別の団体がやって来て、私も私もと、またしても同じようなことに・・・。こんなことが3回ぐらい続き、いろいろ話しかけられるけどよく解らず、なんでこうなるの???という不思議感だけがが腹の底から笑いを沸き起こらせて、もう、笑いが止まらない。人々が、よくピアニストという単語を口にしていたので、我々のどちらかに似てる誰か有名なピアニストがいたりして、それと間違えてるのかしら??と思ってちょっと心配になる・・・それじゃ詐欺じゃんか〜!!。ホテルと部屋番号を聞いてきたずーずーしいやつもおったが、「トップシークレット」とギャグをかましてお茶を濁した。 そんなことやってたので、気づけば集合時間。私たちはタージ・マハールまで来て全力疾走することになってしまったのである・・・とほほ・・・。ほんと「走ってるのはドロボーと日本人」とはよく言ったものである。
 あとで、ガイド・メイラ氏に聞いたら、どうもインドの田舎からの観光客らしく、外国人と写真を撮るというのは田舎に帰ったときちょっと自慢になるとかで、そのせいだろうと教えてくれた。妙な事がステイタスなのだね。そして、ピアニストの謎はというと、少し前に、ここで、有名なピアニストがコンサートをやったからそのことをしきりに教えてくれていたんではないかということで、めでたく解決。 ・・・・な〜んだ、私たちが美人(?)姉妹だったからじゃないのね・・・。でも、詐欺になることもなくてよかったわ〜。
 あ、さっきの、塔が外側に傾いている理由はですね、万が一台風や地震などで塔が倒れても内側(タージ・マハールの本体側)に倒れないようにというのが正解です。つくづくよくできた代物である・・・・。

■アグラ城

アグラ城入り口 囚われの塔
アグラ城入り口 囚われの塔にて
 アグラ城はタージ・マハールを建てた王様が、息子に叱られて幽閉されていたお城。白いタージ・マハールとはうって変わって赤いレンガ色の要塞のようなお城である。塀の中に入るといろんなタイプの宮殿が隣接していて、迷子になりそうなくらい広い。王様が幽閉されていた「捕らわれの塔」の部屋のテラスからタージ・マハールが見えると言われたが、かなり空気がガスっていて見えたのは13人中ガイド・メイラ氏と妹・くりゃ吉だけであった。その昔は空気も奇麗できっとくっきり見えたのであろう。我々の目に映るのは、わが物顔でお城ライフをエンジョイしている、お猿さん達だけであった。それにしてもかなり高いところにあるテラスなのに手すり(?)が膝くらいまでしかないのは何故なんだ??真下を見たら足がすくむこと間違いなし。かなり危険だと思うんだけど〜・・・。(他にもうっかり落ちたら大変!というようなところはいくつかあった。)勿論、窓ガラスなんてもんはない。高所恐怖症の私は写真をとってもらうのもおっかなびっくりで半分腰が抜けたよ。
 インドには、奥様のためにこしらえたものが、本当に多い。とーぜん!アグラ城内にも奥様のために作った宮殿がありました。ひょっとして、インドの男性は愛妻家??(or恐妻家??)

■念願のお買い物

 インドに来て初めてのお買い物。ツアー恒例のお土産屋さんなんだけど、やっぱりお買い物はウキウキするね。まずは、大理石屋さん。白大理石を手作業で掘り、そこにこれまた半手作業でカットした宝石を埋めて、テーブルの天板たどか、小物入れだとかを作っていた。掌に乗っかるような小さな小物入れも細かい埋め込みがたくさん施してあるとウン万円。中には製作日数5年というような、びっちり装飾が施されたでっかいテーブルの天板もあったりして、ちょっとした美術館のよう。とっても手に入るような値段ではないものまで、あれこれしっかり観賞させていただいた末、大理石のチェスと小物入れを、205ドルのところ160ドルにまで負けさせてお買い上げ。
お買い物 ディナーのシタール
お買い物 ディナーのシタール
 さて、「インドに来たら絶対に購入しよう!!」と二人で堅く誓った代物があったのだが、次に行ったお店でめでたくそのモノに巡り合うことが出来た。箸にも棒にも引っ掛からないものといわれればそれまでだが、ソレを手に入れることが出来てホクホク気分でホテルに帰ることが出来た。
 例のごとく外出禁止のホテルライフのため、夜は数人集まって、ガイド・メイラ氏が外で仕入れてきたインドのウイスキーを彼の部屋でいろいろな話を聞きながらご馳走になった。少々甘口だが口当たりは飲みやすくて、なかなかイケました。おっさんだと思っていたメイラ氏が2歳しか違わない同世代と分かり、ちょっと親しみが湧いたりして・・・。

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